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武春師匠の代演、「大忘年会」を終えて。長くてすみません。

公開日: : ご挨拶・御礼, 最新の投稿

「武春師匠が、リハーサル中に倒れたらしい」

という話を聞いたのは、今月12日、渋谷らくごの出番で楽屋入りした直後でした。

前日、理事会でご一緒で、全くいつものようでしたので、すぐには信じられず、ただ、「独演会が中止になった」という事実は、単なる風邪や体調不良ではない、と想像せざるをえず。

ピックを持っていた手が痺れて、動かなくなってしまった、という状況を聞いた時に、「軽い脳梗塞かもしれない…」と自分の中で想像したのですが、翌日になって聞いた詳細は、「脳出血」という、自分なりにしていた悪い想像を、さらに超えたものでした。

少し前に、別の師匠が脳出血になってしまい、今もリハビリを続けているみたいなんですが、なかなか復帰は難しいという話を聞いていて、今回、武春師匠が同じ「脳出血」だとすると、数年前の休養よりも、さらに時間がかかってしまうと。いや、もしかしたら、復帰自体、難しいなんてこともあるのかもしれない…と、過去の経験から、どこかで最悪の事態を考える自分。そして、それを超える現実でした。

師匠福太郎も、ある日突然にこの世を去り、私の父も3年前に突然でした。そして、武春師匠も全く突然に。

「長年看病していても、亡くなられて、これで良かったなんてことはない」

と経験した方から聞いたことがあります。

それに全く反論するつもりもありません。ただ、「死の気配が微塵もなかった人が、ある日突然、全く理不尽に目の前からいなくなる」という経験は、遺された人間に、悲しみとも別の、無常観と言いますか、なんとも言えないものを一生心に残すと言いますか。

さらに今回、お見舞いにも行けず、密葬のため、お顔さえ見られず、という経験は初めてでした。お顔が見られたから受け入れられる、ということもないでしょうが、亡くなってから、今に至るまで、涙一滴流れていません。

受け入れられない現実が、目の前に。いや、目の前に、なのかもわからないです。人づてに聞かされる、メールで知る、ツイッターで知る現実。

こう書いていて、我ながらまとまりのない文章だと思いつつ。。未だに何も整理も受け入れもできておりません。

と言って、じゃあ、飯も食えないほど、意気消沈してふさぎこんでいるのか。というと、割と淡々と生活しております。夜はちょっと寝付けませんが。

師匠福太郎の時にできた、心の中のよくわからない「穴」とでもいうんでしょうか、それが親父の時に大きくなり、今回で無限に広がってしまったような。でも、前からある穴なので、特にこれまでと変わりなく、これからも生活していけるのかな、ともどこかで感じられ。

平気といえば、平気だし。絶望といえば、多分どこまでも絶望。

桃太郎師匠が亡くなった時も涙は出なかったし、無意識に、完全な絶望にならないような防衛本能なのかわかりませんが、「生き死に」に期待しない、というと大げさかもしれませんが、「まあ、いつか死ぬし、いつかというか、人は全く唐突に死ぬし、でも、死んだら会えるし、生きている間も思えばいつでも会える」くらいの感覚といいますか。

なんとなく。

この9年近くの浪曲師人生。唐突なものもあれば、大往生も含めて、でも可愛がってくださった師匠方が何人も、本当に何人も次々になくなっていくという経験をして。

その結果からの死生観であり、絶望からくる開き直りとでもいうんでしょうか、そんな心境で迎えた「大忘年会」でした。

分不相応すぎる武春師匠の代演も、気負わずいつも通りに、いや、いつもより遊び多めくらいにやってしまい、さらに、得意でもない(機会があるので、たまにやってますが)司会で、後輩のみならず、先輩方、師匠方にまでツッコミを入れつつ、4時間近い第2部を進行できたのかなぁと、我ながら思っております。

もちろん、そんな風にできたのは、会場の、あの一体感。

奇跡みたいな一体感でしたね。今思い返しても夢みたいです。

多分、次回やっても、演者も会場も、あそこまで一体感は出ないでしょう。(来年またやるかもしれないのに、なんですが。。まあ、そこそこは盛り上がるとは思いますので、その折りには是非。ってなんじゃらほい)

その一体感は、「そんな置き土産いらねぇや!!!」と叫びたいですが、この公演の企画者であった武春師匠がもたらしてくださったもの。

 

武春師匠から頂いた演目、「大浦兼武」「原敬の友情」。そして、「太福のテーマ」。

 

「原敬の友情」は盛岡でやって以来、全くやっておりませんでしたが、これを機に…という言い方もなんだか相応しくない気がしますが、やります。どんどん。

そして、

これらのネタをやるたび、武春師匠の口演を知っているお客様は、いや、私自身が、どんな気分になるのでしょうか。

その度、武春師匠に会える。そんなセンチメンタルな話じゃないでしょうが、師匠のやっていたような演出に近づこうと、そこから離れようと、事実としてその中心には武春師匠の姿と声があり。

どんな気分になるのでしょうか。

どんな気分になろうと、生涯口演します。生きている限り。

あ、そして口演するだけじゃなくて、もっと大事なこと。誰かにつなげるということ。それはお約束します。まあ、私は今の所そんなにすぐには死なないんじゃないかなぁ?こんな下手な浪曲師のうちは。(と楽天的なマイナス思考の頭が言っております)

 

「大忘年会」。なんだか、今振り返っても夢見たいです。本当にあったのかなぁ。あったんだろうなぁ。

会だけでなく、武春師匠の訃報から、27日夢中で終えて今に至るまで、どこか夢みたいな感覚で、でもその感覚は、師匠福太郎が亡くなってから、今日まで続いているんだなぁ。

 

なんだか、最後までまとまらないなぁ。でも、まとめようともしません。読みにくいことでしょう。我慢じゃ!(笑)

 

最後に、お詫びと申しますか、ご報告と申しますか。

年賀状が、書けません。

とても「新年おめでとうございます」とは。

印刷で、業務的にやっちゃえばいけるのかもしれませんが、私は全て手書きなので、どうしても、書けません。

年明けてから、寒中見舞いにさせていただくか、遅ればせての「おめでとうございます」になるか、わかりませんが、今書いても何の気持ちもこもらないものになってしまうので、すみません。

 

まとまりのない長文。お読みいただき感謝申し上げます。

 

玉川太福拝

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