*

5月を振り返る。

毎月、新しい刺激やら、出会いやらご縁やらを頂いておりますが、

今月は、特にいろいろあったなぁと思い、思わず振り返ります。

 

まず、ゴールデンウィークの10日間連続読み。毎朝9時30分からという会。

合計500名近い集客がございました。

10日間すべて来てくださった方が、7、8名様。私の演目「青龍刀権次」7日間すべて来てくださった方は、14、5名はいらっしゃったと思います。

 

本当にありがとうございました。

 

あんなに、遅々として進まない物語に、辛抱強く付き合ってくださいました(笑)

一つの会で、6話までをぎゅーっと凝縮して口演したことはありましたが、連日、日を空けずに一席ずつ連続で、というのは初めての体験で、本当に勉強になりました。

まあ、勉強じゃなくて、毎日お客様にとって「面白かった!」という会でなくてはならないのですが、自分で振り返っても、山あり谷ありでしたね。。。

それでも、まあ、なんとか最終日までやれたのは、ご一緒してくださったのが、春陽兄さんだったというのも、本当に大きく。兄さんは、何度も連続読みをされてますから、そこはやっぱり、経験者としての落ち着き、ご一緒させていただく身として、同じ楽屋にいるだけで、安心感がめちゃめちゃありました。

あと、兄さんのお人柄。毎朝「おはよ〜」と言って、楽屋入りされた瞬間に、それだけで気がほぐれるような。そこから開演まで、毎朝5〜15分くらい、芸談から下ネタまで、私にとって本番前の癒しの時間だったことは間違いありません。時に、癒されすぎて、用意したマクラを完全に忘れたりもしました(笑)

 

師匠福太郎が、「青龍刀権次」に出会った時に、

『このネタをモノにできたら、俺も浪曲師としてやっていけるかもしれない』

と思ったという演目。

 

私にとっても、そういうネタがあるとすれば、それは自分で他のネタを見つけなければならない、とは思うのですが、

弟子として、師匠が愛した演目を「全編」というのは、30年ぶりくらい(おそらく。おかみさんも、覚えていらっしゃらないので(笑))に復活させられたのは、10年目に入った私にとっても、いろんな意味で記念すべき取り組みだったと思います。

こんな会、自分じゃ企画も集客もできません。神保町講談会さんの偉業です。この場を借りて、心より感謝申し上げます。

 

あと反省として。

 

やっぱり、演目として、現代のお客さまの前に披露するには、「面白くないところから始まって、ようやく面白いところで、また明日になります」という連続物のお約束があるにしても、あまりにも筋が進まないので(笑)。それを、どうやって、もっと納得してもらえるように聴かせられるか。

新たなハードルに、また取り組めたらと思います。そんなわけで、まだ全く白紙ですが、また連日で連続で、という会を必ずやります。また、その時はぜひ!

 

そしてそして、もう一つは、あかぎ寄席で始まった「清水次郎長伝」の連続読み。

今回、まずは二席口演しましたが、

「なぜ、これまで誰も『次郎長伝』の連続読みに取り組まなかったか」

「なぜ、広沢虎造は、死後50年経っても、一番身近な浪曲であり続けるのか」

みたいなことが、稽古から本番を通して、実感できました。

 

前者については、三代目虎造も存在したよ、とか、著作権について、とかいろいろご意見あると思いますが、私の実感からすると、

「虎造先生の節も啖呵も、頭の中に入りすぎているから」

ということが、まずあまりに大きいと。

それを、節回しやら台詞回しやらを、変えて口演するということは、演者にとっても、お客様にとっても、「非常に違和感のある体験」であるということ。

おなじみの文句、言葉を聞いた時に、自然と頭の中に虎造版次郎長伝が、脳内再生される。そこから外れるというのは、やっぱり、まず最初は「違和感」なんだということ。

そこまで浪曲ファンではない、というお客様からも「思った以上に違和感があった」という正直なご感想をいただきました。

その通りだろうなぁ、と。至極至極、まっとうなご感想だと思います。

私の頭の中でも、虎造版が再生されますし、本番での第一声の時も「あの調子で出ないように、出ないように。。。」と心の中で念じながら唸ったくらいです(笑)

 

それでも、やってよかった。と心から思えました。

 

それは、おそらく、今のタイミング、ということも、大いにあると思います。

お客様の中にも、虎造版を、そこまで聴いていない世代の方が多かったり、それこそ、私自身も「虎造版を聴いて育った」なんて世代ではないので、前記した違和感についても、耐えられる違和感の範囲といいますか。

違和感ではあるんですが、

 

面白がれる違和感。

 

そして、虎造版をほとんど聴いていない方も、今はたくさんいらっしゃるということ。

 

もう一つは、虎造先生の口演が、「話芸」の一流のテクニックに満ちているということ。

ものまねにならないように、台本に起こした後は、聴きこまないようにして取り組んでいるのですが、台本にしただけでも、会話の間合いとか、運び方とか、一般的な「浪曲台本」とのその違いたるや。

 

リアルなんですよ。ものすごく、「生」っぽい会話なんですよ。

 

その生々しさ、と、浪曲特有の「唸る」という「ミュージカル的な話芸の演出」、つまり、オーバーな部分、嘘の部分、との調和というのが、ものすごく難しいので、一概に「生」っぽければ良い、というのではないのですが、当たり前ですが、「その登場人物が本当に会話しているように聞こえる」のが、どんな演出であれ、話芸として優れていることは間違いないわけで。

それが、台本の時点で、クオリティがものすごい。

無礼な表現かもしれませんが、天狗連の方々(素人)がやっても、虎造版次郎長伝のセリフが、かなり、聴くに耐えうるものになるのも、そのためであることは間違いないんじゃないかと。

(虎造節選手権、というのがあるんですが、素人さんの(正直そこまで上手くない)「三十石舟」のあのシーンを聴いていた、二代目東家浦太郎師匠が、普通に笑ってましたもん(笑)プロの誰を聴いている時より、ニコニコだったなぁ。。。)

 

話を戻しますと、その話芸のテクニック、会話の技術、

その感性を、体験できる、体に入れることができるというのは、ものすごい財産です。

次郎長伝に限らず、玉川太福にとっての財産。これは、間違いなく。

 

自分なりの「次郎長伝」というには、果てしない道のりですが、

ネタおろしの口演を聴いたお客様から、好意的なご感想として「太福版になってましたよ」とか「全然違ってました」と、何人かの方に言っていただけただけでも、非常に心強く、もっともっとと、奮起の気持ちになります。

 

全23話。

 

3ヶ月ごとに2話ずつですから、3年近くかかるわけですが、

それくらいのペースでやれるというのも、今の私にとってはちょうど良いのかなぁ、という気がしております。

時間をかけて、いろんな意味で、変化しながらじっくり取り組めるのでは、と。

 

不安は。

 

お客様が、前回の筋を忘れちゃうこと(笑)。3ヶ月なので、それは当然で。

あと、途中参加のハードルが、どんどん高くなりゃしないかと。

 

その補足を、どのようにやりましょうか、というのは主催者「いたちや」さんと相談しております。

皆様の中にも、ご意見ご要望などありましたら、

お気軽にメールでも、見かけた時にでも声をかけてください。

 

 

あとは、浪曲協会事務局長として、賃貸契約書を作成したこと(笑)

私の人生にとって、前代未聞の取り組みでした。

 

 

何かありましたら、

tamagawadaifuku@live.jp

まで、お気軽にご感想などお寄せくださいませ。

 

 

お読みいただきありがとうございました。

また6月も楽しみな会がたくさんありますので、お付き合いいただけましたら幸甚です。

 

 

玉川太福 拝

 

 

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