盛岡公演備忘録〜当日篇〜
起床時間に決めていた8時にリビングにおりると、東京から夜行バスで駆けつけてくれた副後援会長お二人が合流されていた。一緒に朝食をとり、会場入りが13時なので、それまで時間が空いている。夜行バス組はやはりお疲れの様子で、仮眠。私は、北上川を眺めながら、日課の発声トレーニング。
その目の前を通りすぎていく鴨ちゃん。
大事をとって二日間やらなかったが、いつもとそこまで違和感がなく、「なんとかなるかなぁ」とは思いつつ、お客さんの前で本番の声を出してみないことには全く分からない。
毎日同じことをやる。同じことでも「辛いなぁ」と感じる体調や「面倒だなぁ」と感じたりする心も含めて、とても大事なことだと思う、この頃。
でもって、この川やら、森の木々やら、すこし離れたところで近所のおじさんが、くるみを洗う音なんかに囲まれてると、ネタをさらったり、マクラを考えたり、いつもの出番前と同じ作業でも色々違うのかなぁとも思う。失敗していい舞台ってのもあっちゃいけないかもしれないが、今日の会は私の浪曲次第で、今後二度と浪曲を聴かずに人生を終える人もいるだろうなぁと、深刻に考えればもっとナーバスになりそうなもの。ところが、毎月出てる木馬亭定席の出番前のほうがナーバスだったりする。
舞台に掛ける3席を浚いながら、まだ見ぬお客様を想像しながら、これと決めず、というのはいつもと同じなんだけど、キャラクターとか人物のトーンとかスピードとか、色んなパターンを改めて探ったり。あとは、舞台にたって、お客様の前で、どんなトーンを出すか、出しちゃうか。
ぶらぶらしながら、2時間くらい川沿いでのんびりしていると、他の皆さんも時間をもてあましているらしく、ちょっと早めに出発、有名な「南晶荘」という建物を見学することに。ちょっと迷いながらも、副後援会長のモバイルナビで無事着。なんだかんだであんまり時間がなく、早足で見学し、盛岡劇場へ。みね子師匠には、ホテルから直接に会場入りをお願いする。
一年ぶりの盛岡劇場タウンホール。客席も舞台もなにもない空間に、椅子をならべ、舞台の台を設置し、金屏風を運ぶ。男手がありがたい。本当は全て御任せで体力温存したいところだけど、そうはいかない。こういうとき、後輩がいたらなぁ。とはいえ、後援会の皆さんに一生懸命手伝っていただき、思ったよりも早く会場設営完了。私はといえば、汗だくである。大丈夫かいな。
みね子師匠にお願いして、一声出す。大丈夫だ。
受付をつとめてくださる、盛岡きっての美女軍団の皆様にご挨拶。かなり早めだが、ご年配の男性がご来場。ありがたし。楽屋に戻って、時計をみながらのんびり着替えるのは、いつも通り。
時折、舞台入り口のドアを開けて、客席の入り具合を確認する。あと10分くらいになっても、空席が目立つなぁ。一年で一番大きな祭りとぶつかっちゃったもんなぁあ。開演前のアナウンスに駆けつけてくださったエフエム岩手のSさん。しかも、ちゃんとした格好で。申し訳ないやら、有難いやら。
いざ開演。幕の隙間から客席をみれば、いつの間にやら満席。(あとで聞いたところ、お祭りのせいで駐車場がどこも一杯、そのためギリギリになった方がたくさんいたんだそうな)
3席とも、悔いなく口演できた。
この一年、浪曲をほとんど聴いたことのないようなお客様の前で、独演会をさせていただく機会を何度もいただいていた。その経験値に尽きるかなぁと思う。
あそこの笑いはもっと大きかったら、とか、欲を言えばキリがないが、私の未熟さも含めて、お客様と空間を共有できたかなと思う。3席ともに、新しい発見と試みあり。終演後、ロビーにて見送らせていただくが、笑顔のお客様が多く、一年ぶりに会う方々も、明るいお顔ばかりで嬉しい。テレビ岩手のディレクターさんも、プライベートで来てくださった。たった三日間のうちに、もう再会できる人が何人もいるのが嬉しい。
荷物をまとめた頃には、撤収時間の17時近かった。とはいえ、打ち上げにはまだまだ時間が早いとのことで、一旦それぞれネグラに戻り、一休みしてから打ち上げという流れ。この2時間くらいの時間に、驚くほど疲労感。
魚が評判という居酒屋。浪曲師になってから、お客様•先輩に連れて行っていただいて、それまで食べたことがなかったような美味しいものを頂戴する機会を何度もいただいてきたが、この日のさんまの刺身、ほやの刺身は、味わったことがないレベルの旨さ。
なんだけれども、若いバイトの店員さん、に加えて、皆さん御神輿を担ぎに出払っているのか、人手も足りないらしく、2杯目の飲み物が来ない。恐ろしく来ない。労いの打ち上げ、誰も怒る者はいないけれど、それにしても来ない。
「全然来ないなぁ」「どんだけ燗をつけてんの?」なんてことを話つつ、仕方なく、さんまの刺身を一口。あまりの旨さに、不満を忘れる。また不満が募る。ほやで帳消し、さんまで帳消し。それくらい、美味しかった。(ちなみに、オーダーを冷酒に変更してみたところ、おそろしく早く届く)待ちにまった燗酒も、抜群のぬる燗で、なんというか、結果的に素晴らしいお店だった。
トイレその後に、的なものが「お香」という。「小」だったが、記念に焚く。
まだ22時過ぎだった、早めにお開き。滞在先に戻り、心地よいグッタリ感のまま、荷物の整理をしていると、副会長二人とみね子師匠は、二次会へいったという知らせ。「やっぱりなぁ」と思いつつ、就寝。
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