太福•一太郎二人会 @道楽亭
ご来場ありがとうございました。
一太郎さんと私は、ほぼ同期。3ヶ月ちょっと私が早いだけでして、7年もたてばそれはほぼ同期みたいなもんです。
とはいえ、大勢いる同期の中の二人、というより、「二人しかいない同期の二人」という感じで、年齢もほぼ一緒、入門当時は日本にたった二人の「二十代男子浪曲師」ということもあり、当然周りから比較される宿命…って、「周り」もごくごく小さい範囲ではありますが、その小さい範囲を中心に生きている我々にとっては、けっこう逃れられないことだったり、小さくないことだったりします。
たぶん、そのうちに、お互いに、周りから「一太郎と比べてどうだ」とか「太福と比べてどうだ」と耳にすることが、嫌になったんだと思うんです。
そんなことは彼と話し合ったことはないですけど、「浪曲」という私と一太郎さんが紆余曲折でそれぞれ出会った、人生を捧げるもの、その「浪曲」で「浪曲師」と競い合いたいわけじゃなく。
浪曲で、落語や講談、その他の演芸、芸能の人たちと競い合いたい。驚かせたいわけです。
お互いの師匠の個性も違えば、さらに私は師匠を亡くしているし、目指す芸の方向性も備わってる個性も、全然違う。これは一太郎さんと私に限らずそうだし、「努力」や「情熱」で比較されるならともかく、「声」「節」「啖呵」のどこか一部を比較して、どっちが上手いの、良いのと言われるのは違うだろうと。お客様の好みだろうと。
とくに浪曲ファンの方々や身内には「節の勝者=浪曲師としての勝者」思想の持ち主が多くて、それが堪らなく嫌だったりするので、あまのじゃくな私はさらに「節以外」を磨こうとばかりした時期もありましたし、未だそういう傾向もなきにしもあらず…だったりします。
って、この方向だとどんどん脱線しそうなので、えーっと、つまり、2人とも年季明けして、他芸の方々との交流戦が増えてくる中で、浪曲師としての、純粋な根っこを比べられるようなこの2人会は、とてもいいタイミングでお話をいただけたなぁと思っております。
もちろん、そんなことは一太郎さんとは話していないし、お互いがそれぞれ、それぞれなことを思っているほうがいいかなぁと思います。
話は変わって、
どんなに「違うように、真似しないように」と思っていても、最終的に似てしまうのが、子弟だと耳にしたことがあります。
似る必要は全くないし、浪曲のもつ多様な魅力の中から、それぞれに合った方向で上昇していけたらそれが一番良いと思っているんです。
また話は変わって、
浪曲協会の電話番を、私も一太郎さんもやっているんですが、ときおりお客様に言われるんです。
「あ、こないだ会にうかがったものですけどね、あ、あなた一太郎さんだね?良かったよ〜。え?違うの?声がそっくり」
これから長い時間をかけて、それぞれどうなるか。
「太福•一太郎二人会」次回は来年2月11日(祝)。道楽亭でお待ちしております。
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