中村仲蔵
奈々福姉さんとの「清き流れの玉川姉弟会 浪曲浮かれナイト vol.10」、ご来場ありがとうございました。
奈々福「梅ヶ谷江戸日記」 みね子
太福 「中村仲蔵」 みね子
「中村仲蔵」
このネタ、私は好きだ。
いや、好きになった。というほうが正しい。
師匠が口演しているネタの中で正直、特別好きなものではなかったし、漠然と「大ネタ」という意識もあって、もっと先で覚えるものと思っていたのに、恥ずかしながら、なんとなく、というか、ふと、
「よし、次は仲蔵を覚えよう」
と思ったときは、こんなふうに自分が取り組むとは思っていなかったです。
よし、と思えたのは、講談や落語の二つ目の方がけっこうやっているのを知って、じゃあ私もいいのかなと。「え、そんなもんなの?!」と思われるかもしれませんが、「はい、そんなものです」。
落語、講談でも有名なネタだけあって、色んな先人たちの口演を聴けること。まずこれが本当に有難く。浪曲の場合、前にブログでも書きましたが、台本の作者が浪曲師と別であることがほとんどであるため、台本に手をいれるという作業を、浪曲師はあまりしないんです。
小菅一夫•作の台本をもとに、それを自ら演出(たぶん脚色も)して大成功したのは、二代目広沢虎造先生ではないでしょうか。
三門博先生も、初代浦太郎先生の師匠、東家楽浦先生も作家として有名ですが、なんというか、虎造先生のほうがもっと落語的な取り組み方といいますか。
実際に、虎造先生は落語家さんのアドバイスを取り入れて、あの「飲みねえ、食いねえ」の次郎長伝を完成させたと聞きます。
私も、毎回自分なりの色、解釈を加えて口演するようにと思っておりますが、とはいえ、師匠が残したものを、「ああ、この部分は、こう言ってみよう」「このギャグは変えよう」とか、真似はしないようにしないようにと心がけつつ、台本自体をがらっと変えることまではしたことが無かったんです。
「中村仲蔵」浪曲の台本を書かれたのは、近年で浪曲界への最大の功労者の一人、芝清之先生。
ところが、この、芝先生が書かれた台本が、落語、講談とまるでちがう。
本当に、もう、全然違う。
三代目中村仲蔵の著書「手前味噌」の中で書かれている初代仲蔵とも、全然違う。
さて、この全然違うものを、芝先生も亡くなられている今、そのままやってお客様に何か聞かれたときに、なにも答えられない、なにを根拠に口演しているか答えられない、それは嫌だった。
あまりにも、無責任というか。とくに、実在した人の話として。
教わっていない落語、講談から勝手にいただくことははばかられるので、事実というか、細部の根拠は「手前味噌」に決めました。物語としての演出は、芝先生が作られたものを、落語講談とは違うものとして、そのまま生かす方向で。
主人公の人物像から、物語の展開から、会話のほとんどまで、自分で作り変えるという作業。
とても、楽しかったし、「ああ、きっと私の好きな落語、講談の方は、どのネタでもきっとそういうふうに、自分なりに必ず作り変えて、自分のものに仕上げて口演しているんだろうなぁ」と思えたのが本当に大きかった。
これまでのネタでも、徐々にそういう面を大きくしてきてはいたけど、どこかで、思い切り変えたりすることははばかられていたのだけど、今回で吹っ切れた感じです。
そうして作ったネタには、愛着がわく。どんどん育てたいと思う。
とはいえ、今回はもろもろがおっつかず、かなり余裕のない、早産なネタおろしでした。
なんとも無事にやり切れたのも、この「中村仲蔵」をずっと育てたいと思えたのも、こういうふうにどのネタでも取り組まなきゃと思えたのも、当日あの瞬間にお付き合いくださったお客様のおかげでございます。
心より感謝申し上げます。
浪曲が、楽しくなってきた。少しだけ、いや、本当に少しだけ。いや、楽しいなんていうと余裕みたいですが、全然あの、難しくて難しくて、あの…ごにょごにょ…。
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